日産の「自動車における電動化技術の動向とモノづくり」を聴講しました

こんにちは、オフィス・キートス マネージャーの新開豊員(とよかず)です。

少し前の話になりますが、2019年6月19日から22日までの4日間、ポートメッセなごやで開催された「INTERMOLD 名古屋 / 金属プレス加工技術展」を見学してきました。会場では試作に特化した金型メーカーの技術や、3Dプリンターなどの最新機種が並び、各社特徴のある展示をされていました。

intermold名古屋2019

その中で、6月20日に行われた日産自動車の基調講演「自動車における電動化技術の動向とモノづくり」を聴講することができました。

日産自動車の電動化技術の現状は?

日産といえば、リーフやノートeパワーなどのラインアップがあり、国産の自動車メーカーの中で最も電動化が進んでいる会社と言ってもいいのではないでしょうか。そんなメーカーだからこそ、電動化を進めていく上での問題点も多く抱えているという印象を強く受けました。

というのも、電気自動車では内燃機関がなくなり、それに伴いトランスミッションや付属する部品の数が大幅に減るため、新規メーカーの参入障壁が下がるという話をよく耳にします。確かにシャーシの供給を受け、モーター、バッテリーなど基幹部品を購入することができれば電気自動車は比較的簡単に製造することができると思います。

しかし、今回のお話によると、従来とは異なる新しい歯車の技術、熱処理、軽量化などが必要とされており、モノ作りとして解決すべき課題がまだまだ多いようなのです。

例えば、減速機という部品の歯車について。従来のエンジンでは回転方向が正転のみなので、歯車の一方向に強度があれば良かったのですが、電動車では回生エネルギーも使用するため逆回転が発生するので、歯車も正方向だけでなく逆方向からの力にも対応しなくてはならない。そして、エンジンでは回転数が6,000rpm程度だったものが、モーターでは(現行のリーフでも)10,000rpm以上になっていることなどから、歯車のフリクション低減、歯面粗さ、低粘度オイルの開発が重要になってくるとの事でした。

もう一点、アルミを使用した放熱技術への取組みについても興味をそそられました。モーターの高回転や回生、急速充電を繰り返すと、どうしても熱が発生します。この熱をいかに軽い素材で放熱するかという問題です。今後はアルミの冷却フィンが増えてくるとみていると言われていました。この辺りの分野は技術のある中小企業にもチャンスがあるのではないかな、と感じました。

講演の終盤に講演者がこんなことを言われていました。「金型なども含め、とんがった技術を2つ、3つ持っていないと日産としては仕事をお願いできない。機械があればできる事は、海外でやる」

中小企業の普通と思っている「とんがった技術」を見つけ出して発信していけるよう、オフィス・キートスとしても頑張っていきたいと思いました。