オークマが考えるスマート工場、スマートマシンのこれから

こんにちは、オフィス・キートス マネージャーの新開豊員です。去る4月19日、ポートメッセなごやで開催された「名古屋ものづくりワールド2019」に参加し、オークマの家城社長の特別講演を聴講してきました。

近年、国内では人手不足、中国などでは人件費の高騰などから工場のFA化が急速に進んできているという話をよく聞きます。日本を代表する工作機械メーカーとして、オークマがどのように顧客からの要望や自社内での自動化に対応しているか、今後どのように考えているかという内容の講演でした。

近年多くの企業が取組むようになったIoTですが、現在は設備に取り付けられたセンサーを利用して個々の設備状態を監視する仕組みが主流です。オークマはひとつ先に進み、工場全体が最適に運用されているかという目線で工作機械をつなぎ、工場の稼働状態、生産実績の見える化を行いました。オークマではこの取組みをDS1と読んでいるそうです。

次にAI分析を用いて、工場の稼働実績の分析、日々のカイゼンを行っていく稼働率の改善から、スループットの最大化をすすめていかれたとのことでした。オークマではこの取組みをDS2と読んでいるそうです。

講演の中では「センサーから取得したデータをただクラウドに上げても意味がない。とったデータをどのように活用していくかが重要」とも言われていました。

このオークマでの取組みを取引先企業のA社でも実践したところ、稼働率が1.9倍、売上が2倍になったという事例紹介もありました。

早速A社のホームページを拝見したところ、社員数や事業領域、事業規模が当オフィスのお客様と近い中小企業でした。工場全体の見える化、AIなどを利用したデータの徹底活用などIoTを活用した改善は、中小企業にとっても有用だということです。

また、個々の機械の稼働率の向上を目指すのではなく、工場から出荷される製品のスループットの最大化を図った実践手法も、当オフィスがお客様の工場で推進している全体最適の視点と考え方が一致しており、お客様のサポート面でも少し自信を持つことができました。一方で、カイゼン習慣の根付いている企業にAIやIoTを持ち込むと生産性が向上するとのお話もあり、先にカイゼンの習慣を根付かせていくことの大切さも痛感しました。

最後に、工作機械メーカーとしてのオークマでは、IoTやAIを利用するためにも機械設計の線一本一本がとても重要だという考え方があるそうです。IoTで集めたデータも、骨格がしっかりした機械がなければボケたものになってしまうのでしょうね。

講演を聞いて、これからの日本の製造業に求められるのは ①しっかりしたものづくり技術 ②AIなど最新のテクノロジーを取入れていく柔軟性 ③慣れによる日々の生産活動ルーティン化の弊害に気づくこと(そこからカイゼンが生まれる) の3点なのかな、と感じました。