「ボーイングと日本のものづくり企業が生み出す航空機」を聴講

オフィス・キートス マネージャーの新開豊員です。

2018年4月11日は、ポートメッセ名古屋で開催された「名古屋 ものづくりワールド2018」の展示会に参加してきました。ここで名古屋航空・宇宙開発展の特別講演として、ボーイングジャパン株式会社の社長 ブレット・ゲリー氏による講演「ボーイングと日本のものづくり企業が生み出す航空機 ~航空機産業の最新動向と今後の展望~」という貴重なお話を聴くことができました。この講演、なんと聴講者が2000名で、主催者側も想定以上の人気とのこと。航空宇宙産業への関心の高さがうかがい知れます。

※画像はボーイング・ジャパン ホームページより、Boeing787 Dreamliner

インカムで同時通訳!

受付入口ではインカムが手渡され、あれ?スピーカーでの講演ではないの?と思っていると、同時通訳で使われるとの説明。ボーイングの社長の講演なので当たり前といえば当たり前なのですが、英語の同時通訳で講演を聴くのは初めての経験でちょっと驚きました。それにしても、イヤホンをつけずに講演を聴かれている方々を目にするとやはり羨ましい。

ボーイングの機体の2割を日本で製造

冒頭、ボーイングと日本との関わりから話が始まりました。今から約60年前に一人のボーイング社員が日本に事務所を開設され営業されたことがきっかけになり、日本のものづくりに感銘を受け共同で機体の製造が始まったとのことでした。共同生産が始まった当初はボーイングのリーダーシップが失われるとの反対の声もあったそうですが、結果的に日本とパートナーになり機体生産ができたことは良かったと話されていました。そして現在では機体のおよそ2割が日本での製造となっているとのことです。

ボーイングの機体組立工場では日本の自動車メーカー式の改善を取り入れて高品質・高効率な生産ができるようになったとのことで、日本の自動車産業が航空宇宙業界にも影響を与えていることは個人的に嬉しいお話でした。また、現在は複雑な電気配線などの組付け作業にVR、タブレット等を使うようになって、紙媒体での作業指示書を出していた時代と比較し9割ミスが削減されたそうです。これはボーイングに限らず、人的ミスが起こる可能性のある製造現場では大いに参考になりそうな取組みです。実際にその後の展示会でVRを活用したミス削減の提案を見つけて体験させてもらうこともできました。

サンワテクノスさんのブースでデモをしていたAceReal One。
ゴーグルのレンズが多層になっており、顔を左右に振ると組立動画、組立指示書が視界に出現。
指示をを見ながら作業を行うことができる仕組みだ。

企業にとって大切なのは……?

ところで講演の後半、今後の会社のあり方について、とても深い言葉がありました。

「ボーイングは100年の歴史が有り、何が正しいのか判断することが難しくなってきている。従来の方法で仕事をしていくだけでなく、技術を持った人材に入社してもらう仕組み、そして離職を防ぐ仕組みを持っておくことが大切だ。そして、将来の技術者になるかもしれない子供たちの学ぶ場を提供し育てていくことが大切だ」

とのことでした。やはり、最後は人(人材)ということですね。大変勉強になりました。今後の活動の参考にさせていただきたいと思います!