行ったからわかった、ドイツvs日本 展示会の「違い」

こんにちは! ものづくりライター新開です。今回は、9月にドイツの世界最大級の工作機械の展示会「EMO Hannover」に行って感じた「日本とドイツの展示会の違い」について書いてみます。

さて、私は2000年頃は旅行系展示会の主催者として、2010年頃からは工業系展示会の出展者として、そしてここ1年は産業・工業系展示会に10回以上取材や営業で参加し、多くの展示会にさまざまな関わり方をしてきました。そして今回、初めてヨーロッパの展示会に行ったわけですが、ホントにいろんな違いがあって驚きました。

特に大きな違いを感じたポイントは2つ、

1.みんな飲んでる
2.名刺が減らない

です。詳しく見ていきましょう。

1.みんな飲んでる

なんと、あちこちのブースでドイツビールを提供していました。出展者のうち、だいたい2~3割くらいのブースでカウンターから生ビールサーバーが生えていてびっくり。

平日の昼間だけど、展示会で仕事中なんだけど、結構みんな飲んでる。真面目な日本人では決してできないことだと思いますが、ドイツ人は気にもせず飲んでました。私も「郷に入れば郷に従え」と思い、ヤマザキマザックさんのブースで1杯いただきました。ごちそうさまでした。

オランダのバリ取り機メーカー TIME SAVERS のブースではオランダ産ゴーダチーズを配っていました。機械の成約特典が、直径約80cmのゴーダチーズまるごと1個なのだそうです。それって、もらって困らないのだろうか……。

凄いところだと、バーカウンターの壁一面にウイスキーやスピリッツが並んでいて、お姉さんがカクテルを作っていたところもありました。サンドイッチやオードブルなど、おつまみを充実させてお客さんを呼び寄せているところもありました。

それでも感心したのは、ひどい酔っ払いはいなかったことです。みんな節度をもってビールを飲みながら、展示会をお祭りのように楽しんでいるのがわかりました。

2.名刺が減らない

日本の工業系の展示会だと、展示会主催者が「名刺を集める⇒コンタクトを取る⇒成約につなげる」というスキームを推奨していることもあり、出展者は「名刺を集める」ことを数値目標にしがちです。名刺を集めるために魅力的なコンパニオンを雇って、魅力的なノベルティグッズを配布するという企画をするところが多い。

だから展示会で情報収集するには名刺をたくさん持って行く必要があり、カタログやパンフレットと引き換えに自分の個人情報を渡さなければならず、その後の営業メール、営業電話に辟易するというケースが多くありませんか?

でもドイツの展示会では、カタログやノベルティグッズをいただくのにほとんど名刺を求められませんでした。気合いを入れて作った英語の名刺200枚がほとんど残ってしまったくらいです。

じゃあ彼らは何を目標にして、何のために展示会に出展しているのか? それが気になって、展示会後にトレーニングセンター見学にお邪魔した溶接機メーカーのアジア担当営業マネージャー Florian に聞いてみました。

Florian曰く、 展示会出展の目的はズバリ「現在のユーザー、将来のユーザーと仲良くなること」。ユーザーさんに当社の製品やスタッフを魅力的に感じてもらうことこそが大切なのだということです。

「短期的な売上目標を設定すると、そのためにスタッフ側が必死になってしまってお客さんと仲良くなれない。だから展示会では数値目標を設定していない」

「展示会では当社のファンになってもらうために、ちょっとかっこいいカタログとTシャツをお渡しする。こういう活動を続けていると、いつかお客様が溶接機を検討するときに検討してもらえるので、セールスはそれからだよ」

とのことでした。だからみんなガツガツしていなかったのね、と納得。私はドイツ式の展示会のほうが好きだなぁ、と思いました。いや、ビールが飲みたいわけじゃないですよ(^_^;