ものづくりライターの新開です。2023年11月29日~12月2日まで東京ビッグサイトで開催された展示会「国際ロボット展」に突如現れた、癒やしムードあふれる異色のブースを発見! こちらはブリヂストンソフトロボティクスの展示「umaru」でした。今回は株式会社ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズのCEO、音山哲一さんにお話を伺うことができました。
効率化を追求しないロボットがあってもいいんじゃない?
株式会社ブリヂストンといえば、誰もが知るタイヤメーカー大手。タイヤ製造で長年培ったゴムの技術を活かして、ゴムホースや樹脂ホース、その他の樹脂加工品などをいろいろ製造する部品メーカーの一面もあります。そのブリヂストンの社内ベンチャーとして、保有技術のロボット分野での用途を開発されているのが、国際ロボット展2023で異色の展示をプロデュースした「ソフトロボティクスベンチャーズ」です。
ブースで展示していたのは、人工筋肉を使った柔らかいロボットのいる部屋「Umaru」でした。グローバルデザインファームのIDEOとのコラボレーションで、人があふれて騒々しいロボット展の中で、ロボットの新たな可能性を提案する癒やしの小部屋ができていました。
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「とりあえず横になってみて!」と言われて、私も試しに横になってみたところ、柔らかい人工筋肉が私を抱き上げるような感じで抱えてくれて、深呼吸のようなゆっくりしたスピードで上下に動いてくれました。写真の左右にあるネットで作ったベッド部分が人工筋肉を使ったロボットになっていて、伸縮することで人を包み込んで上下してくれるようです。ベッド上のライト部分も呼応する感じで伸縮して、なんともいえないゆったり空間をつくりだしていました。
実はこれ、誰かがプログラムや指示をだしているのではなく、人が触れることがきっかけになってロボットが反応しているのだそうです。一カ所に触れるとロボットが共鳴するのようで、ライト部分も順番にチューブが動き出しました。
![](https://i0.wp.com/office-kiitos.biz/wp-content/uploads/2024/01/20231129_144157-scaled-e1704787869779-750x1024.jpg?resize=750%2C1024&ssl=1)
人とロボットが今までにない触れ合いをしたとき、新鮮な心の動きが生まれると私たちは信じています。umaruは、柔らかく、寛容で、穏やかなロボットとと触れ合ったとき、人が何を感じるのかを問う、実験的な体験空間です。
—umaru 展示ブースのメッセージより引用
ブースの壁にあったメッセージには、こんなことが書かれていました。確かに私の体験も、私の動作に反応して予期せぬ動きを見せてくれる驚きがありました。でもその驚きも動きも、とにかく穏やか。展示会場でなければそのまま寝てしまってもいいかな、と思ってしまうような、別世界のような空間でした。
ブースにはもう一つ気になったメッセージがありました。
「ロボットの発展は、これまで速さや正確さなどの機能性を重視してきました。その成果が、私たちの社会や生活にもたらして影響は、計り知れません。ただし、ロボットはこれからも機能的な存在でのみあり続けるのでしょうか?」
—umaru 展示ブースのメッセージより引用
音山CEOは、「今までは人が命令してロボットが動いていました。でも今回の展示では人が触れることでロボットが反応するので、人とロボットの新しい関係性、新しい共生が期待できるのではないか」と教えてくれました。今後は体験してくれた来場者の声も反映しながら、新たなアプリケーションの開発を進めていくということでした。
今回の展示は単に「ロボットの展示」というよりも、「ロボットって正確さ・速さだけですか?」というメッセージと、これまでのロボットと人間の関係性への問題提起のように感じました。2024年1月にはアメリカの展示会「CES」にも出展されるとのことで、今後の展開に大いに期待していきたいと思います。
以上、ものづくりライター新開でした。
株式会社ブリヂストン ソフトロボティクスベンチャーズ
https://www.bridgestone.co.jp/products/softrobotics/