ものづくりの現場シリーズ、続いて岐阜県の有限会社浅美工業にお邪魔して、浅野専務に生産性向上の秘策にについて教えていただきました。浅美工業さんも中部部品加工協会のメンバーです。

東海北陸道 美濃インターのすぐ脇です

有限会社浅美工業では、工作機械の部品を中心に主に鉄のフランジやスリーブなどを製造されています。旋盤、複合旋盤、研磨機などの機械構成で、材料から研磨仕上げまでをワンストップで加工できる点が強みです。

右手のMazak INTEGREX i-200 は2016年7月に導入したばかりの最新機種です

最初に教えていただいたのは、加工の大幅な効率化を達成した秘密兵器「ハイドロチャック」です。一般的に、重切削(切削量を多くしたり、切削速度をあげたりして抵抗が大きくなる加工)を行うと、加工機に取り付けたドリルやエンドミルなどの工具が少しずつずれてきます。工具のずれは加工不良の原因となるだけでなく、工具の寿命が縮んで加工コストが上昇につながってしまうという大問題でした。その問題を解決するために導入したのが、こちらの「ハイドロチャック」です。

写真上からハイトルク、通常品、ロングネックのハイドロチャック

ハイドロチャックは、「ハイドロ」という名前の通り、油圧でドリルをがっちりホールドすることができるアイテムです。上の写真の右側を加工機に取り付け、左側にドリルを取り付けて使います。

ドリルをがっちりホールドできたことで、

①ドリルのビビリ、飛び出しがなくなる→加工不良の削減
②加工途中のドリルの飛び出しの抑制→段取り替え回数の削減
③刃先の損耗の抑制→工具の寿命が延びる

というメリットが出て、生産性が大幅に向上したとのことです。

2つ目のアイデアは「クイックチェンジ」です。従来ツールを交換する際は、こちらの写真のように六角穴付きボルトを2本緩めてツールを取り外し、新しいツールを取り付けてから2本のボルトを締めるという作業を行っていました。

数字の横にある円2つがツールの着脱を行うためのボルト

そこにクイックチェンジを導入したところ、ツールを90度回転させて外し、新しいツールを取り付けて90度回すだけでセットできるようになりました。これでツール交換の時間が半分以下になり、浮いた時間を加工に回せるようになったとのことです。クイックチェンジを導入する装置を絞ったことで、導入コストも抑えつつ、生産性向上を実現することができました。

円形部分にツールをセットして回すだけで取り付けできるようになった

進化する工作機械や工具に柔軟に活用しながら効率アップの努力を続けてられている浅美工業さんならではの現場改善事例を見せていただくことができました。浅野専務、どうもありがとうございました!

【取材協力】
有限会社浅美工業
〒501-3753 岐阜県美濃市松森355-7
TEL (0575)35-2681
https://asamikougyou.jimdo.com/

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