少し前の話になりますが、昨年9月に鹿児島を移動中にモクモクと蒸気が上がる施設を見かけました。近づいてみると地熱発電所でした。しかも、入口には見学可能との文字が。受付で見学をお願いしてみたところ快く迎え入れていただけました。しかも、飛び込み見学なのにアテンダントに詳しい説明をしていただけました。
センターで地熱発電、火力発電、原子力発電などの他の発電方法を含めた発電方法の説明を受けた後、発電施設の見学に出かけました。発電容量34,000KVA(30,000kW)の発電機や実際に使用され、メンテナンスの際に交換された蒸気タービン、迫力満点な冷却塔を間近で見学することができました。当社代表はタービンの接合部の溶接に釘付けになり、その丁寧な仕事ぶりに感心しておりました。
地熱発電のしくみ
今回は、簡単に地熱発電のしくみついてまとめてみたいと思います。
地熱発電にはフラッシュ方式と呼ばれる方法と、バイナリ方式と呼ばれる発電方法があり、この山川発電所ではその両方の発電方法を使用しています。
まず、フラッシュ方式ですが、貯留槽と呼ばれる高温、高圧下の熱水(この発電所では2.7MPa、227℃)を組上げ蒸気と熱水に分け、蒸気をタービンに送り発電を行います。分けられた熱水は(この発電所では0.98MPa、183℃)還元井を通じて地下に戻されます。
次にバイナリ方式の発電ですが通常は既にある温泉熱(水)などを利用して行われる発電で、100℃程度の熱水で発電が行われるタイプの地熱発電所になります。そのため、高温な源泉を持っている温泉施設等に追加で建設することが可能なタイプの発電方法です。
山川発電所では、フラッシュ方式の発電で使われた後の還元井を通じて地下に戻している熱水の一部を使ってペンタンと呼ばれる有機溶媒を加熱、蒸気化してタービンを回し発電を行っています。この設備では定格出力4,990kWで運転を行っていました。
世界3位の再生可能エネルギー
今回見学した地熱発電は再生可能エネルギーの一つの種類です。他に再生可能エネルギーの代表格といえば太陽光発電や風力発電、水力発電などがメジャーどころになるかと思いますが、地熱発電は地下に高温の熱水のかたまり(地熱貯留層)がある場所でないと発電することができません。つまり、温泉の多い日本ならではの発電方法といえます。
日経BPクリーンテック研究所によると、日本の地熱資源量はアメリカ、インドネシアに次いで世界3位とのこと。立地条件や温泉施設への懸念など諸処の問題は多くあるようなのですが、温室効果ガス削減の観点から見ると有益な発電方法ではないかと思います。
今回の見学から地熱発電について調べるにつれ、脱炭素社会を実現するという国際的な流れからも重要なエネルギー源になるのではないかと感じました。
(新開豊員/マネージャー)
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