ものづくりライターの新開です。2023年11月29日~12月2日まで東京ビッグサイトで開催された展示会「国際ロボット展」で、注目を集めていたロボットコントローラのメーカー「Mujin」のブースを訪問しました。

私が初めてMujinロボットコントローラの存在を知ったのは、2017年の国際ロボット展でした。以来動向をうかがってはきましたが、これまでMujinの最大の特徴は「どのロボットメーカーでも接続できる汎用性」だと考えていました。

それが今年のプレゼンテーションでは、コントローラがさらに進化して「知能」を持ち、既に現場で活躍している事例を知ることができました。そこでこの記事ではMujinブースでのプレゼンテーションを中心に、Mujinのコントローラの進化のポイントなどを簡単にまとめました。

製造業・物流業界の人手不足を、ロボットでカバーする

これから2030年に向けて、製造業と物流業界でますます人手不足の状況が進んでいく見込みです。製造業ではEVの台頭で新規参入企業が増え、市場の拡大とともに多品種・小ロット化が進む見込みであること。物流業界ではEC市場の拡大により、宅配の小口数が現状のほぼ2倍に増加する見込みであること。このような状況で業務量が増えていく中で、人手不足はますます加速すると見込まれています。そこでロボットによる自動化の必要性が増していくというのがMujinの見立てで、私を含めて同じように考えている方も多いことと思います。

EV市場の拡大(Mujinプレゼンテーションより)
物流取扱量の増加(Mujinプレゼンテーションより)

人手不足の対応策:自ら考えて動く「知能ロボット」

今後避けられない人手不足への有効な対策となりうるのが、Mujinのコントローラで自ら考えて動くようになった「知能ロボット」です。ロボットにとっての「脳」であるMujinのコントローラを接続して、ロボットが自分で考えて動く自動運転ができるようになったということです。

ロボットと知能ロボットの違い(Mujinプレゼンテーションより)

思えば従来のロボットは、教えたことの繰り返し動作しかできませんでした。しかもティーチングといわれる「教え方」がロボットメーカーごとに違うため、ロボットに繰り返し動作を教えるためには特殊なプログラムの習得が必要でした。そのプログラムも各社あまりに違うため、A社のティーチングを覚えたエンジニアはB社のロボットを操作できず、B社の講習に別の人を送って覚えてもらって……というのを繰り返し、大変苦労している現場をいくつも見てきました。私はこれがロボット普及を阻むの最大のハードルだったと思っています。

しかし、ロボット展で見たMujinコントローラ搭載のロボットは、どのメーカーのロボットでも接続できる汎用性はそのままで、さらに自分で考えて動くようになっていました!

「人でなければできない」と思われていた判断+作業をロボットができるように

プレゼンテーションで紹介された物流倉庫の事例では「ロボットが商品を画像で見て、それが注文を受けた商品であるかどうかを判断して、ロボットハンドでつかんで持ち上げて、発送用の箱の中にしまう」という一連の動作を、ティーチングではなくロボットが自分で考えてやっていました。これまで「人でなければできない」と思われていた動作を、ロボットができるようになっていたのです。

さらにロボットだけでなく、AGV(自動搬送装置)や工場のライン・設備なども全てひとつのコントローラで動かすことができるとのことで、Mujinが目指す「個別の自動化ではなく、工場全体の自動化を目指す」という状態が、Mujinのコントローラを入れれば即実現できる状態になっていました。

Mujinロボットコントローラの特徴は、メーカーやデバイスを問わず一つの「脳みそ」で全てコントロールできること
Mujinブースで展示されていたロボットとAGV(自動搬送装置)

Mujinの特徴である「ロボットメーカーもデバイスも関係なくコントロールできる」というメリットは変わらず、さらに「知能」が加わってロボットが自律稼働するように進化したことは、本当に凄いことだとと思いました。少し前には「未来」だったことが既に実現したということで、これからもMujinのイノベーションに期待しながらウォッチしていきたいと思います。

以上、ものづくりライター新開でした。

株式会社Mujin
https://www.mujin.co.jp/

投稿者プロフィール

新開
新開