2017年4月5日(水)~7日(金)に東京ビッグサイトで開催された「Photonix 2017 第17回 光・レーザー技術展」の取材の中から、クローズアップしたいものづくり技術を取り上げています。

さて、前回は近年めっきにも技術革新が起きており、さまざまなプラスアルファの機能を持っためっきも広がってきたというお話をしました。気になる機能性めっきについて、いくつかご紹介したいと思います。

ノンピンホールめっき

一般的な無電解ニッケルめっきには微小なピンホールが存在します。しかし用途によっては、ミクロン単位のピンホールすら許されない精度を必要とする場合があります。そんなときに採用したいのが、金属皮膜研究所の「ノンピンホールめっき」です。

「ノンピンホールめっき」は独自技術により、微小なピンホールを極限までなくしためっき皮膜で、無電解ニッケルめっきが苦手としているシャープエッジ部や角部のめっきのダレも最小限の膜厚差に抑えることができます。精密レンズの金型や、導光板用の金型、フィルム製造設備など、ミクロンレベルの突起や穴が許されない用途で大きなメリットが出ます。形状や膜厚までコントロールできるという凄い技術です。

 

フッ素樹脂含有無電解ニッケルめっき

これはめっきにサブミクロンのフッ素粒子を無電解めっきの中に分散させて皮膜をつくる複合皮膜のめっきです。フライパンのテフロン加工のように、金属の表面に「滑る、はじく、くっつかない」という機能を与えることができます。耐摩耗性、摺動性、撥水性に優れており、機能が長持ちするのも特徴です。金型に使えば離型剤の代わりになり、離型の手間や離型剤の材料費を節約することができます。さらに「滑る」という特徴から、シャフトやシリンダーなどの摺動部品、バルブやポンプなどの潤滑性を必要とする部品などにも最適な表面処理といえます。

 

黒色無電解ニッケルめっき「ecoブラック」

レーザー機器や光学系装置など、光の反射が許されない部分のめっきに最適なのが黒色無電解ニッケルめっき「ecoブラック」です。下の写真は失敗してなぜかグレーになってしまいましたが、実物はかっこいい黒(ピアノブラック)でした。このめっきはRoHS指令にも対応した環境にやさしい黒いめっきなので、黒アルマイトや黒クロムの代替としても用途が広がります。

さらに用途によって、ピアノブラック、素材のまま、つや消しと状態も選べます。お願いすればこんな塗り分けも可能。めっきを施しても、吸着穴のピンホールはしっかり残っています。

用途により適切なめっきを選定することで、コストダウンや工程削減にもつなげることができそうです。機能性めっきの世界、まだまだ奥が深そうですね。

以上ものづくりライターの新開でした。

【取材協力】
株式会社金属皮膜研究所

高品質な表面処理を短納期で日本全国に届けている東京都品川区のメッキ会社。昭和30年の創業以来メッキ加工一筋で、機械、電気、物理、金属などの技術を駆使してあらゆるメッキにチャレンジしている。

 

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